今回は前回に引き続き、顕生代(カンブリア爆発以後、すなわち古生代、中生代、新生代)の生物の進化、および繰り返された大量絶滅の原因とそれらの影響に関してまとめます。
最近(2020年7月)、生命の発生と進化の研究に画期的な進展をもたらしたと思われる研究論文の発表とプレスリリースが国内でありました(※1)。今回はこの話題に絞ってお伝えします。
生物の最も重要な特徴はエントロピー増大への抵抗と自己複製です(ここでいう自己複製とは「自分と同じものを作る」という意味であり、方法を問いません)。ただし細胞内小器官や感染性病原体の中にはこの2条件を満たすものがあり、今回はこれらを取り上げ、生物と無生物の境界を考えます。
米国の生物学者ポーパは、生命の定義に関する本を書くために、書物や科学雑誌に発表されている生命の定義をできるだけ集めようとして、約300の定義を集めたところでそれ以上の収集を止めました(※1)。生命の定義がこれほど多いこと自体が決定的な定義がないことを意味します。ウイルスが生物に含まれるかに注意しながら、これらの定義のいくつかを以下に紹介します:
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