(前回のあらすじ) 古澤満博士は生物が進化する性質と進化しない性質を併せ持つことに注目し、どのようなシステムであればそれが可能であるかを思考実験した。その結果、単細胞生物が分裂・増殖する際に、一方の娘細胞が必ず正確に複製された親の表現型を受け継ぎ、もう一方の娘細胞は必ず変異が付加されたゲノムを受け継ぐことを代々反復すれば、これらの相反する性質を併せ持つことが可能であることを見出した。彼はこのシステムを「元本保証の多様性創出」と名付け、生物界が、多細胞生物を含め、このシステムに従っていることを示した。